2010年8月30日月曜日

ヘウレーカ!〜アムランのなぞなぞ

二週間ほど前に手に入れたこのアムラン作曲「短調による12のエチュード」のCDにはコンポーザー=ピアニストのマルカンドレ・アムランMarc-André Hamelin氏が25年の歳月の中でコツコツ作曲してきた、12曲のエチュードと他の数曲が本人の演奏で収録されています。

これらの彼の曲は、コアなクラシック系ピアノ好きの耳には非常に魅惑的な色彩感が独特で、かつ演奏が世にも難しいものが多くを占めます。

さてこの12曲のエチュ−ドはショパンのエチュードを3つ合体させたり、リストやロッシーニの作品を編曲したりと、過去の名人達の作法を現代によみがえらせたような色々な仕掛けがありますが、その中の第5番「グロテスクなトッカータToccata grottesca」はある過去の作曲家の曲を元にしているけれども、その原曲は秘密、聴いた人が当ててね!という茶目っ気たっぷりのアムランからのなぞなぞでもあります。

ずっと分からなかったのです。
ところが今朝、ぼーっとiPhoneの小さなスピーカから流れてくるこの曲を聴いていて「このテクニックはあの曲(←答えとは違う曲)に似てるな・・、この曲の入ったあのアルバムにあの曲も入っていたな・・あっ!あの曲だ、そうだそうだ、まるで違う雰囲気になっているけれどもこれはあの曲が原曲だ!!」
と分かってしまい、笑いが止まりませんでした。

「ヘウレーカ!(見つけたぞ!)」

さすがにアルキメデス先生みたいに裸で駆け出したりはしませんでしたが(笑)

いや、なんというかピアノ好きのネタなのですが、憑き物が落ちてすっきりした嬉しさに、つい日記の投稿をしてしまいました、とそういう浮かれたネタなのです。

2010年8月25日水曜日

豊田市美術館に森村泰昌展を観た

休みをとったので車を出し、名古屋市博物館にポンペイ展を観に行こうと思ったのですが、駐車場の空きを待つ車が二つの信号を跨いで並んでいるのを見て断念。まずは御器所のリーズナブルな中華料理屋「盛華」で昼食をとることにしました。
台湾ラーメン+四川飯で780円のランチを頼んだら、どちらも単品と遜色ないフルサイズで運ばれてきてびっくりしました。家内の注文した本日のランチ(700円)も中々のボリューム。ほんとは単品も色々試してみたい気持ちはあるのですが、一人や二人では恐らく食べきれないものになるでしょうから慎重に考えねばなりますまい。

食事を終えて豊田市美術館に行きました。森村泰昌『なにものかへのレクイエム』展を見るためです。

美術家の森村氏が歴史的な人物や女優に扮して写真を撮った大型のプリントが並んでいて、まず写真プリントとしての力が凄い。特にピカソや三島、ヒトラーなどの歴史上の男達になりきって渾身の表情を4x5で撮った(と思われる)写真一枚一枚が非常な圧力を持って目の前に立ちはだかります。

これらの作品は私の肚の底に手を突っ込んで色々な思いを立ち上がらせます。「すでにある作品を一から創造し直すところに生まれるものは何か。」「これは誰の作品か。森村氏のものか、シャッターを押した人のものか、モデルとなった人物のものか。」「これらの作品は、<私>とはいつの世の誰でもあり得るという事を再認識させてくれるのか。」など、いろいろな考えがぐるぐる回り始めると頭を離れず、息を呑んで見入ってしまいました。

「なにものか」とは<誰>なのか?!

2010年8月12日木曜日

ポートレイト

十年余り前から始めた写真は、ずっとポートレイト、特に美しい女性を撮りたくて今に至っています。

言うまでもなくポートレイトはモデルが居なくては始まらず、またその獲得が一番難儀なところでもあります。
それも色々な道筋があるのですが、自分はプロのモデルを他のカメラマンと同時に撮っていく所謂モデル撮影会に参加した事はないし、これからもそういう場に行く事はないでしょう。

わたしは友人知人や、個人的な関わりで知り合った人にモデルをお願いします。なので断られたり、都合がなかなか合わなかったりで、実際に差し向かいで撮影できる機会は本当に少ないです。それでも自分は相手に敬意を持って向き合って撮りたいと思うところから、昔も今もこういうやり方を変える事が出来ないでいます。