2011年5月19日木曜日

ホーキング博士はヤキが回ったのか、あるいは彼の名誉のために言い替えるならば何らかの圧力でもあったのか。

(5/21:この記事は下記に引用した要約が不正確だったため、後日追記します。)
これは、ホーキング博士の物理学での仕事に言及するものではない。
以下の要約記事が大意を誤っていないのなら、博士は一体どうしてしまったのだろう。どういうわけでものの分からなさが分からないようになってしまったのか。

(YAHOOニュース)ホーキング博士は「(人間の)脳について、部品が壊れた際に機能を止めるコンピューターと見なしている」とし、「壊れたコンピューターにとって天国も死後の世界もない。それらは闇を恐れる人のおとぎ話だ」と述べた。

(ロイター)重力などの法則があるため、宇宙は無から自らを創造できると指摘。「宇宙を創造させるのに神を呼ぶ必要はない」と付け加えた。

言葉尻を捕まえて揚げ足取りをするレヴェルの話ではなく、論理的に破綻しているので、この記事を読んで違和感を持った人はそれなりにいるのではないか。

・かりに、壊れたコンピュータ=死者の脳、であるとしよう(実際はそんなこと言い切れるのか、を置いておく)。それら他者の「死後」を(おそらく観察出来ないからという程度の理由で)「無い」とどうして言い切れるのか。さなくばまさか「自ら」「死」を「体験」した上でカタったのか。
・「無」は無である。無い、のである。その「無」が「自らを」「創造」するならば、もはやそれは無ではあるまいて。
・「法則」は「有」である。それは無ではない。そしてその「法則」を有らしめるものについて「有」を「無」とカタれるものならカタってみよ。

決して科学を否定しないし、「死後の世界」とやらがあると言っているのではない。
観察と検証を繰り返し、ある仮定がそのプロセスにおいて食い違いを生じない時にそれを「法則」として認めるという、まさに科学的態度で臨むのなら、そのプロセスが実行出来ない事柄については断定を避けるのが科学者なら真っ当というものであろう。

神や仏という宗教の語を使いたくなければ「謎」と呼べばよいのである。
謎は解明されるものもそうでないものもあろう。それを説明出来ないからと言って「ない」と言いきるのはおこがましいというものだ。

謎を認めるのは「闇を恐れ」ているからではない。
ホーキング博士、あなたこそ「謎」を、「不知」をもしや恐れているのではないか。
宇宙は広く、私たちは謎を生きているのだよ。

あなたがそう発言したという報せが間違いだと信じたい。

2 件のコメント:

  1. 例の記事をこっちで読みましたが、あの見出しは新聞社が売り上げを伸ばすための「釣り」でしかありませんでした。わたしもまんまと釣られてしまいました。記事を実際に読んでみると、眼目はあくまでも宇宙の創成に関するホ博士の理論にありました。

    ホ博士の主張はきわめて明快です。神や天国や地獄といったものは実際に存在するのではなく、人間の認識の中にしか存在しないというきわめて折目正しい唯物論と、現代の物理学の理論によって宇宙の創成の過程が説明可能になるという考えの二つに則っている――ということさえ分かっていれば、ごく簡単に理解できます。

    ホ博士の主張の眼目は、宇宙が無から創造されたことはいずれ物理学の理論によってすべて説明可能になるという点にあります。つまり、物理学の理論によって万物が作られるに至った過程をいずれ説明することができるようになる。だから、従来の宗教(とりわけ旧約聖書の「創世記」で説かれている天地創造)による説明は不要になる。また、神も天国も地獄は、そもそも生きた人間の認識の中にしか存在しない。だから、人間が死んでしまったらそんなものはそもそも認識できないじゃないか――という論法です。

    なので、あまりムキになられることはないかと思います。あの「釣り」は、あくまでもキリスト教の文化圏ならではのものです。

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  2. 元記事は、次のリンク先で読めます。

    http://www.guardian.co.uk/science/2011/may/15/stephen-hawking-interview-there-is-no-heaven

    ガーディアンのサイトを見ていると、ホ博士のこの記事によってちょっとした炎上が起きている模様です。もっと落ち着けよ、と言いたくなりますが……。

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